「標準」という言葉で迷わされない。「標準治療」は現在最善の治療方法
私の主人は4月に胃癌を告知され、手術闘病生活にはいりました。癌は誰もが知る病気なのに、その病気の特異性と治療についてもなにもかも知らないことばかりでした。
その中でも私達が選んだ治療法は、標準治療と呼ばれるものです。
標準治療と聞いて思うこと、その本当の意味
標準治療と聞いた時の私は「標準で大丈夫だろうか?」という疑問を持ちました。個人的に感じている言葉のイメージですが「標準」という言葉から「必要最低限」という印象しか感じることができませんでした。もっと他に方法はないのか、それだけで本当に大丈夫なのだろうかと心配すら感じました。
しかし、標準治療という言葉を英訳してみると「standard therapy」。最善の治療法という意味もあり、日本語の「標準」とはだいぶ印象が違います。
日本で「標準」という言葉が使われるのはいかがなものか?と個人的には思います。
最善の治療となぜ言えるのか
「標準治療」は診療ガイドラインに定められています。
(日本は癌以外の病気でも標準治療が定められているのだそうです)
このガイドラインは、単に個人的な意見で決められるものではなく、もっと広く世界中のあらゆる医学文献をレビューし、複数の専門家(数十名の場合もある)が系統的な手法をもって厳密に作成し、第三者による評価を経て、詳細に決められたものです。
ガイドラインとは:[国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者の方へ]
標準治療は、現在の治療法の中で最善の治療といえる理由だと思います。
患者やその家族が治療法に惑う理由。それはただ「生きたい」から。
癌の治療については、患者さんの合併症やご本人の意志により標準治療を選択することができます。
がんの標準治療広がる 全国400病院、実施率73% – がん情報サイト「オンコロ」
こちらは、2014年のデータです。
2012年から2013年にかけての標準治療の実地報告、がん対策推進基本計画中間報告書(平成27年6月厚生労働省がん対策推進協議会)からの抜粋ですが、
大腸がん術後化学療法実施率49.6%
胃がん術後化学療法実施率68.2%
に、私自身は少なからず驚きを感じました。
ちょっと調べてみれば本当に様々な癌の治療方法が検索できます。
患者の立場でいえば、自由診療であれば、気に入ったものを自分達で決めて受けることができる「選びたい放題」な状態です。いわゆるそれが「民間療法」と呼ばれるものでも「効果があります」「●●●人がこれで健康をとりもどしました」と言われたら、家族はとしては飛びつきたい気持でいっぱいになります。
「標準」の「治療」よりも、より魅力的に思えるからです。
私達が標準治療を選んだ理由。エビデンスの確率した治療を選びたい
癌は難病です。専門家でもなく、癌を患ったのもこれが初めて、なのに自分達で決定はしなくてはならない。だから、科学的エビデンスに基づいた治療を受けたいと思いました。
治療は長い道のりです。臨床事例が多いとデータもたくさんある、たとえば副作用の時でも安心して相談ができる。それも大きな理由です。
何を選ぶのか、どう向き合うのかはそれぞれに違うと思います。まさに生き方そのものではないでしょうか。
いつも最善を選べるよう、ただ心がけるしかないと私達は感じています。
参考資料: