ずっといっしょに

胃癌サバイバーの旦那様をサポートするブログ

私は無力だけど絶対にあなたを守ろうと思った、胃癌手術後の夫の言葉。

 

手術の翌日、患者さんは歩きます。

癒着を防ぐために大変必要なことです。

私も経験したことがありますが本当にシンドイです。

 検査は元気な人でも大変。病人にはもっと大変。

 

手術後の確認のため、バリウム飲んでレントゲン撮影を行いました。手術後の状況を確認するために大事なことでしたが、主人の身体には相当応えた用です。

おかげさまで手術が成功していることは解りました。一安心ではありますが、バリウムには下剤が入っています。

下剤です。

 

回復手術をされた方はおわかりになりますが、手術終わったばっかりですと、歩く姿はゾンビのようです。歩くのがツライ上に、お腹を下らせてしまった夫は1日にトイレに何度も往復するハメになってしまいました。

 

1日に往復20回

 

あまりのつらさに心が折れてしまったのでしょう。不機嫌さを隠すこともなく、見たこともない顔で過ごすようになってしまいました。顔が壊れたのかと思うほど、怒りと苦悶でグシャグシャでした。

 

ヒトツだけ救われているのは手術後、約1ヶ月ぶりにシャックリは止ったことくらいです。それも大変な開放感だとは思いますが、そんなことはどうでもいいほどの状態でした。

お腹の傷は痛い、お腹の中も痛い、しかも容赦なく下る。

そもそも手術前の2ヶ月の間も絶え間なく散々な目にあってきてます。もう、いくら我慢強い主人も我慢の限界だったと思います。

看護師さんやお医者さんには大変協力的に頑張るのですが私には怒りとイライラを隠すことはありませんでした。厳しい言葉を口にするようになり、ようやく始まった流動食も食べたくないと拒否したり…。

 

「腹も減らない、減る感覚なんて、もうないんだよ。

食べたら悲しいことばかり。

だからもう、何も食べないでいい」

 

これが私には1番堪えました。

 

四つ葉のクローバーを手渡す

ご飯、大好きだったのに。家で晩ご飯を食べられる日は、今日は何?と朝から聞いてくれたのに。いつもニコニコ食事を楽しんでいた夫の姿はもうどこにもありませんでした。

 そう言われても返す言葉などなにもなく、本当に言葉がでなくて棒立ちしているしかありませんでした。そうする間も夫は点滴を支えに立ち上がり、トイレへ向かいます。手を貸そうとすると振り払われます。そしてまた、病室に独りで残されます。

主人がどんどんとんでもない方向へ行ってしまう気がしました。 

「食べる」ってことは生きることだというのに、彼にとって「食」は全て不快なモノに塗り替えられてしまいました。癌のせいで。

 

よくも・・・病気ごときが。

おろおろと泣いてばかりの気持からふつふつと怒りの様なモノが沸いてきました。

主人から絶望的な言葉を聞いた日から、私は少しだけ抵抗を始めました。

傷が癒えれば帰宅する。その時からが私のフィールドでの勝負だ。必ず、食事を楽しめるように、楽しく生きることができるように。もう一度、おいしいって笑えるように。

必ず夫を「こちら側」引きずり戻してやる。おまえの好きにはさせないからな、癌細胞。この日私はそう決めました。