戦ってくれてありがとう。胃はボロボロだったけど転移を食い止めた。
手術室脇の小部屋に入ると、執刀された先生が大きなバットを持って待っていてくださいました。
バットの中には想像以上に大きな「それ」が乗せられていました。
とても丁寧に、部位?を分けてバットの上に整列していました。こんなに綺麗に扱っていただけるものなんだなと感動を覚えました。
私「切って頂けたんですね!」
執刀先生「切りました!」
私も笑顔、先生も笑顔。
転移は認められなかったそうです。
そこへ、主治医先生もおいでになり、しばらく3人でニコニコニコニコしていました。
執刀先生 「今日は切りましたよ!ねえ、先生」
主治医 「切ったね〜〜ほんと、切ったねー!」
執刀先生「かなり、切ったと思います。」
ニコニコニコニコ。
私はここ数ヶ月なかったほど笑顔いっぱいでした。
お腹の中の水は入院してから胃管から毎日2リットルはでていました。それでもまだまだ他の臓器を押しつぶすほど溜まっていて、手術になり前には全て出してしまうのは大変だったそうです。
シャックリも止まらないはずですよね。
主人の胃がどれだけ頑張ってくれてたのか、話をお伺いするほどに涙が出ました。
私「彼の胃が本当に頑張って食い止めてくれてたんですね」
執刀「そうですね、そうだったと思います」
彼の胃はボロボロでした。ビロンビロンでボロボロ。こんなになるまで他に転移させないで頑張ってくれてたんだ。他の臓器に移さないように踏ん張ってくれたんだ。
ありがとう、ありがとう、ありが..
執刀「腸への流れ止めてたのはナスでしたね。」
私「ナス?!」
執刀「ホッコリしました」
ちょ、私、ホッコリできません、先生。
よく噛んで食べようよ!
て言うか、いつのナスだ????
厚揚げと煮たやつ??麻婆茄子の時?
主治医「詳しく調べますが、これからは細胞レベルでの話になると思います。出来るだけ早く次の手を、お若いのでガツンとやりたいと考えています」
ガツン。ですか。
ちょっとまたドキドキしてきました。
でも、今はひとつ階段を登れたんだ、次に繋げたんだと喜びたいと思いました。
何度も先生方に御礼を言いました。
先生方にご主人のほうがもっともっと大変だったんですよ、会ってあげてくださいねと急かされ、高度治療室へ急ぎました。
厳重にロックされて、壁中計測器だらけのものすごい部屋のベッドで
ひゅ〜〜
って、酸素マスクの中から、精一杯声を出して、主人が迎えてくれました。
私は心の底から笑って、お疲れ様!が言えました。