癌サバイバーの家族だってサバイバー。もっと見つめ直したい心のケア
どきっとする言葉を聞きました。
「癌患者の家族は第2の患者さん」・・・何?第2の患者さんって???
患者さんの家族に不安や抑うつなどの心理的ストレスが認められるケースが多いことが、研究により明らかになってきたのだそうです。
つまり、私も・・・。でも、ホントにそうなんです。私も、とっても危うかったんです。
もし、家族が癌になったら。家族の役割分担は変わる
家族の中で癌にかかわらず、重い病気の患者さんが出た場合、その他の家族の役割や立場は大きく変わると思います。家族が患者さんの為にできる役割は
- 患者さんへの精神面サポート
- 家族の生活、治療の経済的な面を支える
- 患者さんが今まで関わってきた社会的な面などへの補助や代行
- 入院や治療方針、その他の意志決定のサポート
思いついただけでも、これだけのことがあるかと思います。人ひとりが、病などで動けなくなるってことがどれだけ大変なことだか、わかりますよね。
家族は常に患者さんへのケアを提供する側でいます。私自身も「当然のこと」であり「それ以外になにがあるの?」という気持でいました。
負の感情は無視してもけして消えない。
大変悲しいことが起きた時、それを我慢して涙を堪えた子供と、大声上げて泣きわめき、感情を爆発させた子供では、後者の方が圧倒的に回復が早いのだそうです。
自分の気持ちを後回しにすると、いつまでもその気持が消化されず残ってしまう・・・。そして不意に自分の心にのしかかってくると言います。「かなしい」「つらい」「さみしい」どれも感じたくない気持ではありますが、無視をするといつまでも消えないものなのです。
癌になったと聞かされた時の衝撃。10時間以上待たされた手術のこと。術後の経過が悪くて毎日泣きながら帰った付き添いの日々。やっと退院しても抜け殻のようになっちゃった、大事な人。そばにいても何もできなくて辛かった毎日。
遠い思い出に思えますが、これらは半年の間に私達の身の上に起きたことなんです。サバイバーの家庭はどこも同じだと思いますが、泣く暇なんてまったくないのです。
自分のことを癒す時間が、大切な人を癒すことになる
「私は大丈夫だから」と言うたびに、たしかにものすごくチカラが沸いてきて、なんとかがんばらなきゃ、私が倒れたらどうなっちゃうの!という気持が強くなりました。
でも、人間ですから。どこかで荷を下ろさないと倒れます。人には限界があるんです。
それを気づかせてくれたのは、相方の抗癌剤治療の担当看護師さんの言葉でした。
「あなたのダンナさまは、初めて癌になったんだよ。あなたも初めて家族が癌になっちゃったんだよ。解らないことばかりで当たり前なんだから!私達を頼っていいんだからね!!」
看護師さんとしっかりと面談でお話をしたのが8月のことです。
その日から、私は私自身を癒すことを「許す」ことができるようになったと思います。
それと同時に、相方がびっくりするほど変わりました。
楽をしてるんじゃない、これは爪を研いでいる時間だと思え
最近は自分のために「好きなコトをする時間」を持つようになりました。
確かに気を抜くことに対して罪悪感もあります。気を張ってないと不安な面もあります。でも、そんな時は、こう思うことにしたんです。これは戦う為の準備だと。楽をしてるんじゃなくて、身体を整え、気持を明るくして「癌に対抗するチカラを準備してるんだ」と。そう思うと娯楽も気合いがはいりませんか?
癌サバイバーの家族もサバイバーです。
だから、癌よりもしたたかになってやろうと思うのです。