ずっといっしょに

胃癌サバイバーの旦那様をサポートするブログ

病棟手術待機室。見ず知らずの方とも励まし合い、ひたすら耐えた時間

転移の可能性があるため、主人の術式は2種類想定されていました。

もし、転移してたら人間ドックで見た、

あの恐ろしいほど膨れ上がった腫瘍はそのまんま残されるんです。

 

当時、まだ癌に対して知識がなく、まだまだ巻き込まれただけの気分でいた私には

なんで取り除いてくれないの?!という恐怖感しかありませんでした。

 

とりのぞいてほしい

癌も

主人の苦しみも

全部。

 

気がつくと2時で、そろそろ面会談話室も賑わい出してきました。

ここは手術待ちの人も居れば、普通のご面会の方も利用します。

 

この頃の私は人の笑い声が辛くてたまらなかったので、

席を外すことにしました。

その時、私と同じようにジッと目を閉じて壁に寄りかかったままの

女性が目に入りました。

きっとお身内の方が手術室にいるんだなと思いました。

 

私は食事をとることにしました。

また貧血をおこしたらいけません。

カフェテリアで飲み物も注文せず(今思うと不思議ですが)サンドイッチだけ食べました。

 

まあ、こんな美味しくない食事は初めてってくらい。

ダンボールを口に運ぶよーな感じでした。

この頃は味覚もなくなっていたように思います。

 

 

主人が手術室に入ってから7時間。

8時間は待つことになるだろうと聞いていたので、

同じように手術待ちされた方の暇つぶし方法を

ネットで検索していたのですが、実はどれもやりませんでした。

 

じーっと目を閉じて、祈る。

時々、どうしようもない恐怖の波が押し寄せてくる。

それを深呼吸してなだめる。

その繰り返しで、8時間が過ぎた頃。

気持ちに少しだけ光がさしました。

術式が変更になった場合、私は必ず呼ばれる筈だ。

8時間経ってもよばれていないことは、切除手術を行なってる。

つまり、転移はなかった(に、違いない)

 

急に力が抜けました。

大丈夫、まだ、待てる。

 

椅子に座っている人の足下

ナースステーションのそば、誰も来ないソファでそれに気づいてから

少し落ち着きを取り戻し、談話室に戻りました。

もう見舞客もいなくて、先程、私同様に手術待ちをしているらしい女性だけが

最初気づいた時と同じようにジッと目を閉じていらっしゃいました。

 

人の気配で目を開いたその方と挨拶を挨拶をかわし

少しだけお話をしました。

私と同じでした。

この方も目を閉じて、朝から10時間、ずっとお一人で耐えておいででした。

 

辛いのはお互い様。

食事はなさいましたか?と気遣ってくださいました。

同じ日に、同じ時間、別々ではあるけど、心配抱えてすごしてたんだなあ。

 

まだ、かかりそうですね

そうみたいですねー

 

諦めたような。なにか、開き直ったような。

ふと気を緩めた時、その方は看護師さんに呼ばれて手術室に行かれました。

 

いってらっしゃい!

思わず、そういいました。

 

待合室は私だけになりました。